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都議選2017

障害者施策をもっと熱く 「演説で話題にもならない」

2020年東京五輪・パラリンピックに向け、京王線飛田給駅から味の素スタジアムへと向かう歩道の問題点をチェックする障害者団体の関係者ら=27日、東京都調布市で

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 東京都議選(七月二日投開票)で障害者施策の訴えが少ないとの声が障害者団体から上がっている。新しく選ばれる都議は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの開催から一年後に任期が満了する。「パラリンピックを控え、障害者にも健常者にも暮らしやすい街づくりの論戦を期待していたのに」と失望する団体幹部もいる。 (神野光伸)

 「高齢者や保育に関する訴えはあっても、障害者施策をどうするかが聞こえてこないのは不可解だ」。自身も目が見えない都盲人福祉協会の笹川吉彦会長(83)は、通勤で利用する駅前で都議選候補たちの街頭演説に耳を傾けてきた。

 駅ホームで視覚障害者が転落する事故が相次ぎ、ホームドア整備は喫緊の課題だが、「演説では、話題にもならない」と苦笑する。聞こえてくるのは、対立する党の批判ばかり。「候補者には障害者の現状を認識してもらいたいが…」

 都議選で各党は公約などに障害者施策を掲げる。だが、ある区で告示前に開かれた立候補予定者の公開討論会では、市場移転問題や待機児童対策など四項目のテーマから、障害者施策は漏れた。討論で、参加者十数人のうち障害者支援の話題に触れたのは一人だけだった。

 聴覚障害者制度改革対策東京本部は今月十六日、手話を「言語」として定める手話言語条例の制定や、街頭演説での手話通訳の導入などで、各党の見解を問うアンケートを実施した。

 各党とも、それぞれの課題の重要性は認めた上で自前の政策を挙げたが、同本部に加盟する都聴覚障害者連盟の越智(おち)大輔事務局長(60)は「実現に向けた具体的な回答はなかった。聴覚障害者の参政権はまだ十分に保障されていないと感じた」と残念がる。同本部は国政選挙や都知事選でも同様のアンケートを実施してきたが、「私たちの要望はなかなか実現されない」。

 海外から多くの障害者が訪れるパラリンピックに向け、障害者団体は障害者が使いやすいインフラ(社会基盤)の整備などが進むことを願っている。

 全国の障害者団体でつくるNPO法人「DPI日本会議」の今村登事務局次長(52)は頸髄(けいずい)損傷で手足が思うように動かせず、車いすで生活する。「パラリンピックをきっかけに障害者に配慮した街づくりが進めば、健常者も住みやすい街になるはず。都議選では、そんな訴えがあってもいいはずだ」と話している。

◆五輪アクセス バリアフリー調査

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピック組織委員会と東京都は今月二十七日、障害者団体の関係者と競技会場へのアクセスを視察し、利便性向上に向けたヒアリングを行った。

 この日は五輪でサッカーなどの会場となる味の素スタジアム(調布市)に最寄り駅から移動し、車いすや補助犬の利用者らが歩道の整備やエレベーターの使い勝手を確認。「点字ブロックが分かりにくい」「補助犬用トイレの整備が必要」などの意見が出た。

 組織委と東京都は今後、他の会場でも視察を行って意見をまとめる方針。

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