東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 都議選2017 > ニュースの記事一覧 > 記事

ここから本文

都議選2017

小池知事勢力が過半数になると… 議会のチェック機能はどうなる?

写真

 東京都議選は、知事と議会の関係が論点の一つになっている。小池百合子知事が支持勢力で過半数を目指していることに、自民党は「知事のイエスマンばかりになる」と批判。小池氏は「これまでの都議会にチェック機能があったのか」と反論するなど、議論は白熱している。 (都議選取材班)

 都などの地方自治体は、有権者が知事と議員を別々に選ぶ「二元代表制」で、緊張関係を保つ仕組みになっている。都政では、自民、公明党などが擁立した鈴木俊一氏、社会党(当時)、共産党が支援した美濃部亮吉氏など過去の知事が党代表として第一党を狙ったケースはなく、小池氏が率いる都民ファーストの会は初となる。

 「われわれが長年守ってきた議会制民主主義を、小池氏は一元代表制に変えようとしている」。今期で引退する自民都連の重鎮、内田茂都議は二十三日、都内で訴えた。別の自民のベテラン候補も「都職員の上司は小池氏。では、都民ファーストの都議の上司は誰か。小池氏だ。過半数を取ればイエスマンばかりになる」と強調。行政と議会のリーダーシップをともに知事が握ることへの批判だ。

 民進党の蓮舫代表も「強い行政権限を持っている知事をただすのが都議会。都民ファーストはトップの知事の方針に反対と言えるのか」と疑問を投げ掛ける。

 これに対し、小池氏は「知事と議会が同じ方向を向いて改革を」と唱えてきた。自民などの批判に「これまでの都議会にどれだけのチェック機能があったのか」「ボスがいて、それこそ一元代表制だった」と連日の街頭演説で反論する。「豊洲新市場の整備費が四千億円から六千億円に膨らんだ。だれがチェックしていたのか」とも。

 都民ファーストのある候補者は、知事との関係について「方向性は同じだが、全部従うのではない」。小池氏と協力する公明は、山口那津男代表が「知事と議会は車の両輪。かみ合わないと前に進めない」と主張する。

 共産の志位和夫委員長は、石原慎太郎元知事を自民、公明が「与党」として支えていたことを踏まえ、「自民・公明対共産が本当の対決軸」と訴えている。

◆強い指導力 発揮できる

<近畿大法学部の上崎哉(はじめ)教授(行政学)の話> 維新の代表を務めた橋下徹・元大阪市長の市政でも、市長提案が議会で否決されることもあり、政治のダイナミズムは失われなかった。首長自らが地域政党を率いて多数派を占めた場合は、安定した権力基盤を背景に政策を推進しやすくなる。都議選で都民ファーストが躍進すれば、小池百合子知事による都政の推進を有権者が望んだことになり、民意を得た首長は強い指導力が発揮できる。

◆議論の緊張関係 保たれるか

<元東京都副知事の青山やすし・明治大大学院教授の話> 二元代表制の観点からは、小池知事が自らの政党の議員を都議会に送り出すのは問題がある。二元代表制の肝は知事と議会が公開の場で議論して政策を決めること。多数派を占めた場合、議論の緊張関係が保たれるのか。外交や安全保障を扱うため、立法と行政の一致が求められる国政との違いだ。小池氏は多数派でも少数派でも都民が納得できるよう議会と討論を重ねなければならない。

 

この記事を印刷する

PR情報