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都議選2017

高齢化進む多摩ニュータウンの声 「先を見据えた まちづくりを」

入居開始から46年が過ぎた多摩ニュータウンでは少子高齢化が速いペースで進む=東京都内で、本社ヘリ「まなづる」から

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 7月2日に投開票が迫った東京都議選で候補者が訴える政策は、目先のものになりがちだ。保育所の待機児童削減などは切実だが、長い目で取り組む必要がある問題もある。入居開始から40年以上がたち、少子高齢化が速いペースで進む多摩ニュータウン(多摩市など)で、有権者に聞いた。 (栗原淳、萩原誠)

 斜面に集合住宅が立ち並ぶ多摩丘陵の麓。小田急多摩線永山駅前で、都議選の女性候補がマイクを握った。それを見ながら、駅近くに住む無職石川武文さん(73)はつぶやいた。

 「住宅を造れば人が住みにぎわうが、だんだん問題が出てくる。それを見越したまちづくりができる人に投票したい」

 四十五年ほど前に移り住んだが、最近の街は高齢者の姿が目立ち、小学校は統廃合の対象に。自分も体力の衰えを感じる。「運転ができなくなれば、買い物や病院通いも不便になる」と不安は尽きない。

 駅周辺の諏訪・永山地区は一九七一年、ニュータウンで最も早く入居が始まり、働き盛りが集まった。多くが今も住み続けるが、その子どもたちの世代は転出が進み、場所によっては人口に占める六十五歳以上の割合が40%超と、昨年の都全体の割合(23%)を大きく上回る。

 駅近くの商店は、シャッターを下ろした店が目立つ。近所の柏村(かしむら)知津子さん(75)は「昔は子どもたちでにぎわった」。ニュータウンの一次入居組で、二人の子を育て、昨年夫をみとった。

 一帯の都営住宅は都が建て替えを打ち出したが、修繕は手付かず。「これでは若い世代が住みたがらない」と嘆く。顔見知りの独居女性たちの世話をしているが、中には不安で真夜中に電話をかけてくる人もいる。柏村さん自身、「自分もどうなるか」と思う。

 都の推計では、都内人口は二〇二五年の千三百九十八万人をピークに減少に転じ、少子高齢化が一気に進む。諏訪・永山地区のような光景が都内各地で見られるかもしれない。多摩市の阿部裕行市長は「都はニュータウンの製造責任がある」と街の再生を求めている。

<多摩ニュータウン> 東京都南西部に広がる住宅地。多摩、稲城、八王子、町田の4市にまたがり、総面積は約2800ヘクタール。開発主体は都や都市再生機構など。現在は約9万6500世帯、22万5000人が暮らす。1966年に造成工事が始まったが、入居開始が90年代以降の場所もあり、住民の年代は地区によって違う。

 

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