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都議選2017

「自滅」の自民57→23 「国政直結」下村会長辞意

当確の花がまばらについたボードの前で記者会見する自民党の下村博文都連会長(左)=2日午後11時20分、東京・永田町の自民党本部で

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 首都の有権者は自民に強烈な「ノー」を突き付けた。自民が議席を現有の五十七から半分以下の二十三に減らし、歴史的大敗となった二日の東京都議選。小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会の攻勢と、国政レベルで続く自民の「失策」が暴風を招き、都議会最大会派は吹き飛んだ。有権者は「新しい風が必要」と厳しい審判を下した。

 「自滅の選挙だ」。「都議会のドン」とも言われた内田茂・前自民党都連幹事長(78)は二日夕、押し殺した声で漏らし、選対本部の入る東京・永田町の党本部を後にした。開票が始まる約二時間前の、早すぎる「敗北宣言」だった。

 投票が終了した午後八時すぎ、同じ党本部。下村博文都連会長が候補者ボードの前に着席するや、敗因について質問が飛んだ。「都議候補は地に足をつけて誠実に訴えていた。残念ながら国政でいろんな問題があり、都議選に直結して申し訳ない」。目は充血し泣きそうにも見えるうつろな表情で、敗戦の弁を絞り出した。

 自ら「都議選の顔」を担った。安倍晋三首相が加計(かけ)学園問題などで応援入りを控えたからだ。ところが終盤、自身にも学園絡みのパーティー券購入問題が報道された。「法律上、問題ない」と切り返したが、逆風はさらに強まった。

 「言われているほど都民ファーストに負けてはいない。惨敗はしない」。下村氏は四月下旬、自信を見せていた。「決められない知事」「知事のイエスマンばかり集めたら都政は失墜する」。混迷する築地市場の移転問題などを引き合いに小池知事への批判を強め、手応えも感じていた。

 都連は、巧みな演説で聴衆を沸かせる「空中戦」が得意な小池氏に対抗するため、組織をフル稼働させる「地上戦」で勝負に出た。新たな支援者の名簿を集め、電話などで支持を訴える作戦だ。各選挙区内だけに限定せず、別の選挙区や都外の知人にも都内の有権者を紹介してもらう。幹部によれば「全国から都内の二十万人分が集まった」。仕掛けたのは、「ドン」内田氏だった。

 しかし国政レベルの「風」が吹き込み、安倍政権への審判の意味が増した。加計学園問題が尾を引き、告示前日には豊田真由子衆院議員の暴言問題が表面化。稲田朋美防衛相の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相としてもお願いしたい」との失言まで飛び出し、ある都議は「何でこんなことに」と頭を抱えた。そして下村氏側にも、パーティー券問題が浮上した。

 三日午前零時半、下村氏は「大惨敗の責任を取って会長をやめたい」と目に涙を浮かべ、党本部を後にした。 (内田淳二、土門哲雄)

報道陣に囲まれ、選挙戦を振り返る自民党の川井重勇さん=2日午後11時37分、東京都中野区で

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◆議長が、都議会幹事長が 重鎮、次々と落選

 自民への逆風は都議会の重鎮らにも及び、現職の議長や幹事長も敗れた。

 定数一減で三議席を争った中野区では、議長を務める川井重勇(しげお)さん(69)がまさかの落選。

 「私の力が足りなかった」と選挙事務所で支持者を前にうなだれた。前回はトップ当選で、六期目を目指した。

 内田茂前党都連幹事長と近く、昨夏には小池知事が初登庁時に、握手を拒否するなど反小池氏の代表だった。

 北区(定数三)では都議会自民幹事長の高木啓さん(52)が落選。支持者に対して「幹事長にもかかわらず当選できず、象徴としての意味合いは大きい。責任を痛感している」と頭を下げた。

 青梅市(定数一)では、元都議会自民幹事長で現職の野村有信さん(76)が、都民ファーストの会新人の森村隆行さん(43)に敗れた。

 

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