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都議選2017

「都民」不満の受け皿 古い政治打破への共感

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 昨夏の東京都知事選に続き、小池百合子知事が「東京大改革の第二歩」と位置づけた二日の都議選は、知事の支持勢力が過半数を確保し、都政運営の安定化にめどをつけた。失点が相次いだ自民党への批判票を呼び込む形で、小池氏が率いる都民ファーストの会は公認五十人のうち、島部を除く四十九人が当選する大勝となった。 (石川修巳)

 「自滅だよ」。今回の都議選は、自民都連幹部が漏らしたこの恨み節に象徴されている。加計(かけ)学園問題、相次ぐ閣僚らの問題発言。そこから垣間見えたのは、政府・自民の「おごり」であり、逆風も自らまいた種といえる。

 都議選で過去最低だった三十八議席さえも大きく下回り、底が抜けた形だ。党内からも「都民ファーストの会が勝ったというよりも自民が負けた」との声が出ている。

 「ふるい議会を、あたらしく」をスローガンに、議会にはびこる旧弊の打破を訴えて共感を広げた小池氏。フランスで六月にあった国民議会選挙で、マクロン大統領の新党が既成政治への閉塞(へいそく)感をすくい取り、大勝した潮流とも重なる。

 選挙全体の勝敗の鍵を握る七つの一人区(当選者の定数が一人)では、「都民」が千代田と中央、武蔵野、青梅、昭島、小金井で六勝。自民は島部の一勝にとどまった。自民が七勝した二〇一三年は、公明党が七選挙区すべてで自民候補を推薦したが、今回は公明が「都民」候補への推薦に切り替えた影響も大きい。

 十五カ所ある二人区でも、台東や渋谷、荒川、府中など七選挙区で「都民」が推薦候補を含め二議席を独占した。一方で自民は、現職を含め複数候補を擁立した板橋や目黒、品川で共倒れし、議席を失った。

 都議選で新党が躍進するのは、小池氏が候補者擁立に関わった旧日本新党の一九九三年以来。「都民」が自民に代わり、都議会第一党になる新たな議会は今月二十三日に始まる。これまで当たり前だったルールが、実は議員による、議員のための特権だったのではないか−と、都民目線で問い直す必要がある。

 ただ、小池氏が代表を務める「都民」の議員たちが、小池都政を厳しくチェックする役割を果たせるのか。意思決定の道筋を「見える化」し、都庁と議会のなれ合いをどう排除していくか。旧弊に「ノー」を突きつけた小池氏自身が、ブーメランのように問われる命題になる。 

 

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